しかし、「グランド・バーゲン」による「力による平和」の正当性と実現可能性には大いに疑問が残る。カナダのトロント大学のCaleb Pomeroy准教授の論文「大国であることは、大きな不安を伴う:なぜ強い国家ほど、弱い国家よりも恐怖を抱きやすいのか(With Great Power Comes Great Insecurity;Why Stronger States Are More Fearful Than Weaker Ones)」は、「力による平和」の正当性には根拠がないという研究結果を報告している。理由は、大国であることは、大きな不安を伴うので、互いに疑心暗鬼に陥りやすく、信頼構築は困難で、「力の政治」を前提とした大国間における恒久的平和構築は実現不可能であるからである。