V字、U字回復といった楽観論もある中で、グッゲンハイム・インベストメント社CIOの Scott Minerd氏の見通しは現実的だと思われる。左の点線のグラフは、米国の実質GDP予想を示している。潜在的な実質GDP成長のベースラインからコロナショックで落ち込み、その後2022年まで「L字」のままとなっている。仮にソーシャルディスタンシングを解除しても、第2次感染の波でGDPはなかなか戻らない。そして、グラフの青い点線で示されるように回復ペースはゆっくりで、ベースラインに戻るまでは3-5年はかかりそうだ。
以上は、米国についての予想である。日本は?というと、状況はもっと深刻になるだろう。米国に比べて日本には戦時の危機意識がなく、対策が後手後手でダラダラしている。政府も銀行も経営者も何とかなると思っているのだろうか。米国は国内に様々な対立がありながらも、何とかしようというドラスティックで能動的な動きがうかがえる。
しかし、日本では売上100億円規模の中小企業でも数ヶ月も保たない。このままではこれから失業が増え、さらに消費が落ち込む。窮乏化で食費も削ろうとするから、スーパーでさえ売上は減るだろう。さらに、ストレスから自殺者が増え、過労死も増えそうだ。
ズルズルと大不況のどん底と向かっている。当然、来年にはオリンピックどころではない。日本政府はオリンピック聖火を人質に取ったために、国際的な関係各組織に大金を払う羽目になるだろう。負のオリンピック需要となる。安倍政権のこれまでの政策全てが裏目に出ている。このままでは、日本は一等国の地位から転落し、貧困国への道を歩む。(おわり)