誰に向けて書かれているのだろうか。欧州議会(European Parliament、EUの議会)、EU加盟国の議会や官僚なのであろうか。あるいは、ユーロ圏外からユーロ問題について批判的コメントが多いために、それに応えるために外向けに書かれているのだろうか。また、「EU解説」は平易で発音しやすい英語で書かれていると感じられる。ただ、政府の歳入が government revenue ではなく、government income とされ、補助金はsubsidy ではなく financial support となっていて驚いた。用語解説で最初に出てくるのは競争力(competitiveness)である。EUの市民や経済学領域の専門家を対象としているわけではないのだろう。EU解説には「競争:市場機能の改善(Competition: Making markets work better)」(2014年)もある。EU解説での経済用語について、経済学やその思想・歴史を専門とする研究者はどれほど関心を持ち論評しているのだろうか。