ニューヨーク州立大学の考古学の教授である、リチャード・ロビンズ教授の名著『Global Problems and the Culture of Capitalism』によると、1861年から始まった南北戦争を転換期として、アメリカの裁判所は除々に法人に課せられた様々な制限を解除し始めます。法人は、戦争から得た莫大な利益および、戦争で結果的に生じた政治的混乱と腐敗を利用して、主に鉄道を建設するため、土地と資金を得ることを可能にする法律制定に介入するようになります。その後、法人は次第に国の法律制定を牛耳るようになり、デルウェア州やニュージャージ州などのロビー活動は、法人の経営者の責任や義務の制限を永続的なものにするため、あらゆる方法で法人の権利を得ることに成功したのです。1888年から1908年にかけて致命的な産業事故で、70万人の労働者が死亡した期間に、裁判所は労働者の職場での事故に対して法人の責任や義務を制限しました。更に、裁判所が法人を優遇した判決として、最低賃金制、労働時間の制限、最少年齢の制限などを禁止したことは、重大な展開でした。暗殺死直前の大統領エイブラハム・リンカーンは、富が少数派の手に集中し、腐敗した時代の到来を予期していたのです。