６月15日付けの私の投稿「日本の農産品市場をCLMV諸国のために開放せよ」に対して、6月17日付け投稿で小笠原高雪山梨学院大学教授から、「CLMV諸国の足腰を強めることが東アジアの安定に不可欠だという吉原さんの御指摘に全面的に賛成です」とのコメントをいただき、大変光栄に思います。CLMV諸国の経済格差問題がASEANにおいてなぜ活発な議論を生み出さないのかについて、小笠原教授からいくつかの理由をあげていただき、大変勉強になりました。

　さて、小笠原教授は「日本はASEANの内部格差を『放置』しておらず、『東アジア共同体構想』の出現するはるか以前からODAによる産業社会基盤の整備、市場経済移行のための知的支援などに取り組んでいます」と仰っており、これについては私が勉強不足でした。ただ、これまでの日本政府のCLMV諸国に対するODAは、目に見えるような形でその成果が伝わって来ず、日本はCLMV諸国の経済格差是正のために十分な支援をしていないとの印象を与えがちでした。

　最後に、小笠原教授が「日本の選択肢を経済協力のみに限定すべきかどうかについては議論の余地がありえますが、それについては別の機会に考えたいと思います」と述べておられる点について、私は日本の選択肢は経済協力のみに限定すべきではないと思います。６月15日付けの私の投稿では「日本の農産品市場をCLMV諸国のために開放せよ」と主張しましたが、それはCLMV諸国の格差是正のために日本にできることの一つの例として挙げたものであり、それがすべてであるという意味ではありませんでした。日本は、人材面で大きなハンディキャップをもつCLMV諸国に対して、留学生などの受け入れを通じた人材育成の面で協力を強化すべきだと思います。欧米諸国に流出しがちなCLMV諸国の優秀な学生を日本へ留学させ、かれらが帰国後の母国で親日派となるような、そういう長期的な配慮をもった戦略的援助を考えるべきだと思います。