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2006-06-17 00:27
CLMV諸国の足腰強化を!
小笠原高雪
山梨学院大学教授
ASEANの内部格差に焦点をあてた吉原京子さんの投稿(6月15日付)を拝見し、心強く思いました。御指摘の会議において、私もその問題に関わる問題提起をしていたからです。報告書の2頁に、「日本はメコン川流域開発計画の活性化などを通じてASEANの活力を引き出すべきだ」という形で要約・紹介されているのがそれです。
残念ながら私の問題提起は活発な議論を生み出しませんでしたが、それには理由がないこともありません。そうした理由のなかには、総論としてのCLMV開発はASEANにおいて何度も確認された食傷気味の主題であること、ASEANのリーダーたるべきインドネシアが地域の全体像に配慮をめぐらす余裕を失っていること、大陸部東南アジアのハブを自負するタイが地域開発へのASEANの関与を歓迎していないこと、などが含まれます。
日本はASEANの内部格差を「放置」しておらず、「東アジア共同体構想」の出現するはるか以前からODAによる産業社会基盤の整備、市場経済移行のための知的支援などに取り組んでいます。他方、国内の市場開放をめぐる日本の取り組みは、CLMV諸国に対するものに限らず迅速とはいえません。そうした限界を乗り越えるには、東アジアをASEAN諸国を含む広域的な視野で捉えるとともに、経済協力を外交の一環として明確に位置づけることが必要でしょう。
私は上記の問題提起の中で、CLMV諸国を東アジアの「最も弱い環」と呼びました。CLMV諸国の足腰を強めることが東アジアの安定に不可欠だという吉原さんの御指摘に全面的に賛成です。その場合、日本の選択肢を経済協力のみに限定すべきかどうかについては議論の余地がありえますが、それについては別の機会に考えたいと思います。
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投稿履歴
日本の農産品市場をCLMV諸国のために開放せよ
吉原京子 2006-06-15 10:27
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CLMV諸国の足腰強化を!
小笠原高雪 2006-06-17 00:27
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CLMV諸国の優秀な学生を日本へ留学させよ
吉原京子 2006-06-21 11:58
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「光」と「水」に重点をおいたCLMV諸国へのODAを強化すべし
甲斐紀武 2006-06-27 10:12
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