1月10-11日付本欄で紹介したアメリカ社会科学連合年次大会で話題になっていたアンドリュー・ソーキンのノン・フィクション・ドラマ『大きすぎて、つぶせない』(Too Big To Fail、2009)の邦訳が、『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』(加賀山卓朗訳、早川書房)という題で出版されている。著者のソーキンは、2008年金融危機を取材してきた『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者である。彼は、2008年3月の投資銀行ベア・スターンズ救済から、9月の政府支援法人(GSE)の住宅金融会社ファニーメイとフレディマックの救済、投資銀行リーマン・ブラザーズの破産、大手保険会社AIGの救済、パニック対策など、アメリカでの金融危機の進展と対処を、人間模様が織り成すドラマ仕立てに描き出した。