日本の事情を訊かれて、リーマン・ブラザーズがアジア等で保有していた資産を中心に取引が止まっていると報道されていると応えた。「Credit market is frozen」(信用市場が凍結状態にある)ということなのか、といった反応が返ってきた。この表現は英フィナンシャル・タイムス(FT)ではよく使われたが、アメリカ国内メディアではなかなか登場しなかったのではないかと思う。そして、金融・経済危機が進行したのであった。リーマン・ブラザーズ破綻後の「信用市場の凍結問題」が公開の議論の中心に置かれたのは、2009年1月3-5日のアメリカ社会科学連合(ASSA)の年次大会の折であった。大会初日の金融問題のセッションは込み合っていた。この時点になると、景気後退を明示する各種の時系列データが利用可能になっていた。