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2008-05-27 09:39

(連載)世界の水商売(2)

岩國哲人  衆議院議員
 ところで、アフリカの農地を飛行機の上から見ると、多くが円形をしている。これは、回転するスプリンクラーで灌漑用水に液体農薬・化学肥料を加えて、大型スプリンクラーで散水する散水灌漑(センターピボット農法)を行っているからである。そして、これらの農地の多くでは、輸出用の商品作物を栽培している。過剰な灌漑によって、水資源の減少を招き、水温が上昇するだけでなく、ヒ素・塩分濃度も上昇する。このセンターピボット農法は環境保護上、限界に近づいている。

 当然のことだが、この円形の農地を、私たちになじみの四角形の農地にしなければ、アフリカの農業は強くなれない。自給用農地を輸出用商品作物栽培に転換したことが、途上国の食糧不足の一因に挙げられており、これをどのように転換できるか、先進国の協力がここでも必要になってくる。そして、食糧不足を解決するのは水。水があれば森が生まれ、農業を推進することができる。

 アジア・アフリカをはじめとする途上国の水不足には、日本の工業技術、農業技術が大きな役割を果たさねばならない。森と水をとりわけ大切にしてきた日本、そして、自然と共生してきた日本の出番が、ここにある。21世紀の世界では、20世紀までの「水商売」とは違う、世界の水の支配権をめぐる熾烈な戦いが起こるであろう。新しい「水商売」の時代は、世界の各地ですでに始まっている。(おわり)
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