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2024-07-20 14:10
(連載2)怪物化するグローバリスト-ルソーの洞察
倉西 雅子
政治学者
今日、日本国を含め全世界の諸国の国民の多くが、政府やマスメディアの誘導によってグローバリズム礼賛の風潮にすっかりと乗せられています。デジタル化は人類に幸福な未来を約束し、地球温暖化問題についても、再生エネルギーへの転換を促進し、ゼロ・エミッションを達成すれば、住みよい地球を人類に約束すると説いています。国連主導のSDGsも、未来に向けた人類の達成目標を設定しており、大きな流れを造っています。そして、何よりも、国境をなくし、あらゆる財、人、サービス、マネー、テクノロジー、情報などが行き交う世界こそ、人類の理想郷であるとアピールしているのです。
しかしながら、ルソーの警告に耳を傾けますと、グローバルな近未来ビジョンの提示や全人類が協力して取り組むべきグローバル・イシューの設定こそが、グローバリストが自らに利益が転がり込むように経済の流れを誘導すると共に、自分たちが他の人類から礼賛を受けるように仕向けた偽装戦略なのではないか、とする疑いが生じてきます。現状にあって、多くの人々がグローバリストに共鳴し、自らこの目的達成のため自発的に協力しているのですから。
歴史上の英雄とは、自らを犠牲にしても人々を圧政や魔の手から救う存在でした。ところが、今日、マスメディアが持ち上げる時代のヒーローは、IT大手の創業者やCEO達、あるいは、セレビティーと呼ばれる人々です。サービスの提供者ではあっても、人々のニーズに応えるサービスや製品は他にも数え切れないほどありますので、特別な存在ではないはずにも拘わらず・・・。マスメディアが特別の存在として扱う理由は、その資金力による莫大な‘宣伝費’の投入に加え、デジタル技術や環境・エネルギー利権等が、経済や社会全体を自らの未来ビジョン、すなわち、世界経済フォーラムが描くグローバリストへの集権・集利権構造を固定化する手段でもあるからなのでしょう。
ルソーが指摘したように‘存在’と‘外観’は違うのであって、この違いを見抜かないことには、人類は、心理操作によってグローバリズムの信奉者にしてグローバリストへの奉仕者にされてしまうかもしれません。人類が大事に育ててきた民主的制度をも食い散らす怪物と化しているグローバリストの暴政から抜け出すには、強固に構築されてきた人類支配の仕組みを冷静に解明すると共に、人類そのものが、知性や倫理性においてグローバリストに優る必要があるのではないかと思うのです。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)怪物化するグローバリスト-ルソーの洞察
倉西 雅子 2024-07-19 14:07
(連載2)怪物化するグローバリスト-ルソーの洞察
倉西 雅子 2024-07-20 14:10
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