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2022-03-18 15:03
(連載1)台湾情勢を展望し、中国経済の成長鈍化を歓迎したい
中村 仁
元全国紙記者
中露の関係強化に後押しされ、ロシアのウクライナ侵略が続く一方で、中国経済の減速が報じられています。私は経済視点とは違う視点から歓迎すべき傾向だと思っています。つまり、安全保障の面からです。日本のメディアには、例えば「人口の減少や少子化は中国の経済成長を抑制しかねない」といった記事が掲載され、安全保障感覚のなさに失望しています。
ロシアの侵略、暴虐が続き、ウクライナは地獄のような悲惨な状況に陥っています。この国際的な危機の中にあって、中国は「必要なら仲裁を行う用意がある」(王毅外相)と言いながら、様子を窺いつつ、中国に最も有利な情勢に持ち込もうとしているに違いない。そうさせてはなりません。習近平指導部はウクライナをめぐる展開を注視しながら、次は台湾支配をどう進めていくかに思いをめぐらせているのです。大規模な対露経済制裁によって日米欧も返り血を浴びており、今後西側経済は足を引っ張られていきます。その成り行きを見ながら、最も有利なポジションをとろうとしている中国の経済減速は歓迎こそすれ、日本として懸念すべきことではないのです。
中国は22年のGDP成長率を5・5%に設定しました。ここ30年あまりで最低の成長目標とはいえ、民間の予想よりは高いです。米経済金融通信社のブルームバーグは7日、「世界経済にとってはウクライナ危機による足かせを打ち消すには力不足だが、一助にはなる」との記事を配信しました。
ウクライナ危機の最中というのに、5・5%成長は「力不足にせよ、一助になる」というブルームバーグの意識は、大局をみていません。中国の国富(正味)は米国を抜いて、世界首位の120兆㌦(マッキンゼー調査)だそうです。世界シェアは23%で、米国の17%を上回る。中国経済の膨張こそ世界の不安定要因なのです。日本のメディアはどうか。(つづく)
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(連載1)台湾情勢を展望し、中国経済の成長鈍化を歓迎したい
中村 仁 2022-03-18 15:03
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