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2022-02-08 18:45
(連載1)原油価格とウクライナ情勢
真田 幸光
大学教員
今年は春先から国際原油価格も落ち着き、世界的な、「悪いインフレ問題」も一段落つくとの見通しが昨年末にはありました。しかしながら、年初からの、ウクライナ問題の緊張拡大、カザフスタンでの動乱、イエメン反政府組織フーシ派のUAE攻撃などがあり、国際原油価格が不安定な動きとなり、とうとうWTI基準1バレル90米ドルを突破してこの7年余りで最高水準となりました。
さらには、市場では、90米ドルでは収まらないという見通しが相次いでいます。今夏の国際原油価格はWTI基準で1バレル当たり100米ドルに達するという専門家の意見もしばしば見かけます。原油の高騰はインフレに繋がり、これが金融政策に繋がる、つまり、利上げにより一層動くことになります。すると、米ドル高を基本とした為替市場にも影響が出てきますし、また株価下落にも繋がりかねません。そういうことで、国際金融市場には、「潮目の変化」を意識した警戒感が醸成されつつあります。
そして、特にロシアのNATO不拡大方針の確約を求めて駆け引きを行うプロセスとして生じたウクライナ問題。これが大きなチェックポイントとなっていることは間違いありません。ロシアがNATOから妥協を引き出すために、実際にロシア軍を動かしていることが今回の特徴ですが、とはいえ、ウクライナ情勢については、私は経済力には総じて余力の少ないロシアが積極的に戦争を仕掛ける状況にはないと考えています。
しかし、もちろんチャンスがあればウクライナに攻め込むという姿勢は本物でしょう。そうでなければ、NATO相手の交渉のカードにはなりません。また、その前にクリミアを欧米・ウクライナに取り戻されぬようにする為に軍事的対応をしているという側面もあります。そして何よりも、今回の事態は、先に黒海に海軍力を展開した英米を軸とするNATOの挑発があったから、ロシアも対抗措置として軍の大規模展開をしている、との見方も出来ると考えています。(つづく)
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