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2021-10-07 22:32
(連載2)政治ジャーナリズムは世襲をもっと疑問視しよう
中村 仁
元全国紙記者
閑職とはいえ、党広報本部長の河野太郎氏は三代目、組織運動本部長の小渕優子氏は父親が首相でした。こう列挙すると、息がつまってきます。政治家としての資質が期待されている林芳正参議院議員は、今度の選挙で衆議院議員(山口3区)に転進する構えです。政治一家で父親は「通産官僚→衆議院議員」でした。世襲でもない人物が政界に入り、生き抜いて行こうとすると「有力政治家の入り婿になる」手があります(例・加藤官房長官)。
次は「有力者に媚びを売る」やり方で、「アベノミクスを踏まえたサナエノミクス」を唱えた高市早苗氏がその好例です。もう一つは「危ない橋を渡る」です。IR(リゾート開発)汚職で逮捕された秋元代議士、選挙違反事件(買収)で逮捕された河井議員らです。世襲議員のように選挙地盤、資金力、知名度に恵まれていないから「危ない橋」を渡ってでも、議席にしがみつくのです。
閣僚人事で早々に財務相に決まった鈴木俊一氏は、父が鈴木善幸首相、義兄が麻生太郎氏です。閣僚、党役員の40%程度が世襲議員ですから、世襲制は自民党の下部構造です。議員にとっては既得権益であり、自ら改革しようとする意欲はわかないでしょう。ですからジャーナリズムが問題提起すべきなのです。
国庫からも317億円(21年度)の政党助成金が交付され、自民党分は170億円です。多額の国費が投入されるのは、政治が国家にとっての公共財だからです。その国費の下で多くの世襲議員が生まれている。政治の家業化(政治の権益化)を助けるための国費であってはならない。世襲制が参入障壁になり、政界に外部から人材が参入しにくい構造になっている。それが日本の停滞を生む一因になっていると思います。民間企業でも、世襲でトップが決まることはあります。家業化した零細企業、創業者系の中小企業ではトップが世襲ということもあるでしょう。国費が投入されているわけでもないからそれでも構わないのです。(おわり)
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(連載1)政治ジャーナリズムは世襲をもっと疑問視しよう
中村 仁 2021-10-06 21:58
(連載2)政治ジャーナリズムは世襲をもっと疑問視しよう
中村 仁 2021-10-07 22:32
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