国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2021-10-06 21:58

(連載1)政治ジャーナリズムは世襲をもっと疑問視しよう

中村 仁 元全国紙記者
 自民党総裁選で岸田文雄氏が当選し、10月4日の臨時国会で第100代目首相に指名されました。政界を支配する世襲政治の構造が今回も、はっきりみてとれました。政治、外交、経済、社会などの世界の枠組みが激動期に入っています。旧システムは新システムに置き換えられていく。政治ジャーナリズムは政界の内部情報ばかり取材せず、政治構造にもっとメスをいれてほしい。
 
 「将来の首相候補」人気候補のランキングで、岸田氏は下位グループでした。石破、河野、小泉氏らに上位を占められ、「優柔不断で迫力に欠ける岸田氏では首相は務まらない」の評価でした。それが河野氏に圧勝しました。派閥の岸田派は48人で、細田派(92人)、麻生派(65人)、竹下派(54人)などの後塵を拝しています。「軽量級だからいつでも下ろせる」が岸田氏を担いだ安倍、麻生氏らの意図でしょうか。一年前、無派閥の菅氏が首相に選ばれた時もそうでした。「無派閥の菅氏なら下ろせる時はいつでも下ろせる」で主要派閥の思惑が一致しました。国民の期待度が下位のグループから二人続けて総裁=首相が選ばれる。本格派の首相の誕生を求めている時代に逆行しています。
 
 今回の総裁選を主導したのは、安倍・麻生連合(2A)のようです。いずれも戦後の動乱期に首相を務めた祖父を持つ世襲政治家の典型です。党幹事長になる甘利氏も、父親が代議士でした。自民党政界を見渡せば、世襲による支配構造がより強固になってきています。小選挙区制の下で当選回数を重ねやすい世襲議員の比率が上がり、かれらが支配構造のピラミッドを昇っていく。
 
 派閥の領袖は全部、世襲議員です。細田派(事実上の安倍派、祖父が岸信介首相)、麻生派(祖父が吉田茂首相)、竹下派(総裁選直前に死去した竹下亘氏は竹下登首相の弟)、岸田派(岸田氏は祖父、父親が代議士)といった具合です。党総務会長になる福田達夫氏(54)は、若手代表として将来が期待されていますが、祖父は福田赳夫首相、父親は福田康夫首相です。この「将来のリーダー候補」(朝日新聞)も典型的な世襲政治家です。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム