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2021-08-31 13:47

(連載1)政策論争不在の総裁選再び

中村 仁 元全国紙記者
 9月末の任期満了に伴う自民党総裁選に向け、岸田前政調会長、高市前総務相らが立候補の構えを見せています。総裁候補の人気投票では下位か、泡沫扱いの人物ばかりなのが不思議です。しかも首相になったら、新型コロナ対策を含め、どのような政治をするのかの態度表明もありません。揺さぶってみるが目的ですか。新聞・テレビの政治ジャーナリズムも、そのことを指摘しません。部外者からみる妙な政治も、自民党政治に浸かっている政治ジャーナリズムにとっては「別に問題を感じるほどのことではない」のでしょう。
 
 有力候補は早期に挙手すると、潰されるのか、沈黙しています。まともな民主主義政治が機能していれば、河野、石破、小泉氏らもきちんとした政策綱領を明らかにして、党員を含めた投票をするのでしょう。官房長官だった菅氏が有力派閥の支持で、あっという間に総裁に確定した時も、菅氏の政策綱領の事前の発表はありませんでした。談合政治です。総裁になってから、やっとハンコを廃止する、デジタル庁を創設する、縦割り行政を改善するなどの方針を明らかにしました。
 
 政策を事前に発表するのではなく、選挙が終わってから、何をするのかを明らかにする。順序が逆です。政策そのものや政策立案能力でトップを選ぶ自民党政治ではありませんから、朝令暮改のコロナ対策が次々に打ち出され、国民はあきれはて、政権支持率が下落するのです。菅氏に代る人物が首相になったとしても、コロナ危機は長期化し、早期には収束しないから、新首相の支持率も上がらない。それなら菅氏をしばらく担いでおき、いつでも下ろせるような態勢にしておく。そう自民党の上層部は考えていても不思議ではない。
 
 横浜市長選は不思議な話でした。カジノ誘致に賛成から反対に回った小此木氏を、カジノ誘致に賛成だった菅氏が支援するという構図でした。菅氏はカジノ誘致派だったはずなのに、いつ転向したのかを言わない。結果、山中氏に18万もの票差をつけられ小此木氏は落選しました。菅首相は何も説明しない。横浜市民の多くはカジノに反対、誘致活動をしていた自民党議員は逮捕、そのうえコロナ危機が重なった。誘致を掲げると選挙で勝てないからか。それにしても首相は、説明責任を果たさない。妙な政治手法です。(つづく)
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