ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2021-08-04 06:24
(連載2)無益な論争より東京五輪の総合的検証が必要
中村 仁
元全国紙記者
躍動する肉体、盛り上がった筋肉美、競技で闘うことの厳しさとひたむきさ、国家や民族を背負うほど高まる闘志には見ほれます。公開のルールを守り、結果は数値化され、一点の曇りもはさめない。疑義があればビデオ判定で結論を出し、皆が従う。それが競技場の姿です。五輪競技の舞台を用意するIOC、JOC、組織員会、政府もこうであってほしい。
かれらやっていることは、判断基準は曖昧で「安全で安心な五輪」を繰り返す。何人かの要職者やディレクターらが解任され、辞任しても、「組織委は個別の人選まで関与していない」との釈明で終わりです。「節度なき転向」などという前に、競技場内の透明度高さと、女性蔑視や人種差別、どんぶり勘定など、どろどろした裏舞台を比べてほしい。競技場内と競技場外の姿にはっきりした対比を感じます。そこを知るべきです。
閉幕後に検証すべ課題は多い。「予算が何倍にも膨張した東京五輪を誘致したのは正しかったのか」「新型コロナ感染が収束するとの楽観的な見通しに立って、一年延期を決めたのは判断ミスだったに違いない」。「新型コロナ対策と五輪開催という二兎を追うのは、無理だった」「日本の猛暑が重なる夏開催は避けるべきだった」「中止の是非を決める時期をずるずる先送りし、結局、開催せざるを得ない状況に追い込まれた」。「観客動員のために設けた4連休は、無観客にしたため、無意味になった。観戦に行けないならと、国民は旅行にでかけ、感染拡大を招くきっかけを作った。コロナ対策は裏目裏目に」。「菅首相の説明能力、言語能力はどうだったか」「感染拡大しても死者が欧米など諸外国に比べ極めて少ない。首相は少しはそこに言及すればよかった」「陽性者、発症者、死者数の関係など、最大のリスクは何かについて、率直な分析と説明が足りないのではないか」。
五輪と不可分の新型コロナ対策についても、検証すべきテーマはいくらでもあります。安倍長期政権以来、スローガンはいくつも掲げながら、結果を検証せず、目新しいテーマを次々に掲げ、行き詰まりをしのぐ政治が続いてきました。新型コロナと東京五輪が浮き彫りにした日本問題に正面から向き合うことにより、有意義な教訓を引きだしたい。(おわり)
<
1
2
>
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)無益な論争より東京五輪の総合的検証が必要
中村 仁 2021-08-03 20:49
(連載2)無益な論争より東京五輪の総合的検証が必要
中村 仁 2021-08-04 06:24
一覧へ戻る
総論稿数:4819本
グローバル・フォーラム