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2021-03-10 00:41
(連載2)経産省に足を引っ張られた日本経済
岡本 裕明
海外事業経営者
最新の日経ビジネスに非常に気になった記事があります。「生理や妊活、更年期障害……女性の悩みが生むフェムテック新市場」という記事の中で生理用品の新製品を女性社長が経産省に持ち込んだところ、「日本の女性が本当に必要としているかは分からない。前例がないので、市場ができたらまた来てください」と相手にされなかったというわけです。典型的な前例主義と日本の不思議なルールの話です。生理用品のルールでへぇと思ったのはこの一節。「この女性社長が手にしていたのは、ナプキンがなくても吸収力があるショーツ。現状の制度では『雑品』として扱われるため、『医薬部外品』にあたる生理用ナプキンや『医療機器』にあたるタンポンとは違い、生理のときに使えることがうたえない」と。タンポンが医療機器?だそうです。
こんな細かなルール一つひとつが壁になっているのですが、これは氷山の一角で日本の産業全体がこの旧態依然とした枠組みで身動きが取れません。優秀な8000人弱の経産省の職員ですらもルールブックを片手にしないと訳が分からない。経産省はそんな経済ルールを構築し、自分でその蜘蛛の巣に引っかかってしまったのであります。
私は日本経済の歴史を語ることもしばしばありますが、読者の皆様の認識も含め、90年のバブル崩壊から変わったという点では一致しています。ではなぜ、これほど長い不調となり、出口がさっぱり見えないのか、と言えば一つにはそれまで主導していた経産省が今、足を引っ張る役割に転じているからではないか、という素直な疑問があるのです。これからの時代、経産省が日本経済を引っ張るとは誰も思っていません。民間企業があくなき探求と試行錯誤の中で作り上げる経済の中で経産省が今、やらねばならないことは民間企業の研究開発の促進と支援であります。そのために今、複雑になったルールを可及的速やかにスクラップアンドビルトするしかないのです。前例主義を唱える人は辞めてもらって構わないし、経産省に民間の血を相当注入すべきと思います。
私が見る経産省は経済の宇宙人であります。つまり、われわれが日々営んでいる経済活動と異次元の世界で実態社会をあまりにも知らなすぎると感じます。ならば、経産省の官僚の卵を民間企業に出向させるぐらいの荒治療も必要かもしれません。そんなことはできないのは分かっているのですが、それぐらい、ギャップを感じるのが今の経産省であります。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)経産省に足を引っ張られた日本経済
岡本 裕明 2021-03-09 19:05
(連載2)経産省に足を引っ張られた日本経済
岡本 裕明 2021-03-10 00:41
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