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2021-03-09 19:05

(連載1)経産省に足を引っ張られた日本経済

岡本 裕明 海外事業経営者
 経済産業省と言えば日本経済のエンジンのようなところですが、この数年、そのけん引役としての声が聞こえていない気がします。そもそも今の大臣は誰だっけ、というレベルではないでしょうか?かつて大臣のベストポジションと言えば大蔵省と通産省がガチのツートップでした。大蔵省、つまり現在の財務省は予算の配分ができるという意味で強気の象徴(省庁?)でありますが、民間でいう銀行のようなものでそれ自体が偉いわけではないのです。ただ民間企業でもCFO(財務最高責任者)がCEOと並んで注目されるのと同じようなものでしょう。
 
 では経済産業省はどうなのか、と言えば日本経済だけを取れば当然COO、つまり社長業に値します。しかし、今の閣僚において「社長」たる梶山大臣の名前を聞くことが滅多にないというのは、とりもなおさず発信力がないということになります。経産省が注目されたのは1975年に発売された城山三郎著「官僚たちの夏」とそのドラマであります。ある程度の年齢の方はドラマないし書籍をお読みになっている方も多いでしょう。その当時はあの小説が一つの日本の指針書のようなところがあり、大手企業の経営者はほぼ全員読んでいたと思います。なぜならトップ同士の会話では必ず出てくるトピックスで否が応でも経営者必読書のひとつであったわけです。
 
 ただ、もう一つ言うなら1975年という時期が日本にとって絶頂期であり、旧通産省を軸に日本経済が大きく発展したという意味であります。今から見れば大昔の過去話そのものなのです。なぜ、過去話になったかと言えば産業構造の変化に対して通産省主導型の体質が時代にマッチしなくなってしまったことが挙げられます。社会はどんどん変質し、新たなものが生まれていくのですが、経産省はキャッチアップが精いっぱいでリーダーシップをとれる状況に全くない、つまりフォロワーでしかなくなったのです。
 
 例えば経産省の出先機関であるJETROというものが海外74の主要都市に存在しますが、あれなどは海外に30年近くいる私も一度も縁がないし、向こうからも近寄ってくることもなく、日系のビジネス界に入り込んでくることもありません。彼らの主たる目的の一つは「中小企業等の国際ビジネス展開の支援」なのですが、大企業には縁があるのかもしれませんが、中小なんて相手にもされないし、中小からしても相手にしないというまったく意味がない独立行政法人であります。(つづく)
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