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2020-11-05 20:54
(連載1)日本学術会議問題はあまりに情報不足
倉西 雅子
政治学者
今般、菅義偉首相が、日本学術会議が推薦した6名の新会員の任命を拒否した一件は、野党側が格好の与党批判の材料と見なしており、国会でも徹底追及の構えを見せています。しかしながら、この問題、‘政府による任命拒否’という一点のみに議論が狭められた場合、不毛の論争になるのではないかと思うのです。
その理由は、ここでもやはり‘情報’です。物事の是非を見極めるには、先ずもって必要不可欠となるのは、判断材料となる情報が十分に提供されていることです。言い換えますと、情報不足の状況にあっては、国民は、政府の側と日本学術会議の側のどちらに非があり、何が問題であるのか、正確に掴むことができないのです。的確な判断を行うためには、最低限、以下の情報が必要となりましょう。
日本学術会議側が提供すべき情報とは、(1)任命を拒絶された6名各自の推薦された理由(現行の制度では前任者推薦制ですので、その前任者が推薦した理由…)、(2)新会員6名の履歴や研究以外の分野を含めた活動状況や履歴(国籍、学歴、並びに、特定の政治団体や宗教団体のメンバーシップなど…)、(3)6名自身による推薦に至るまでの経緯の説明、(4)日本学術会議全体としての選考基準、(5)推薦制導入の経緯と理由…などを挙げることができます。
とりわけ重要となるのは、(2)であり、任命を拒絶された理由として、多くの国民は、同6名に関しては、正式の党員であれ、隠れ党員であれ、共産主義者であった、あるいは、何らかの反日的な組織のメンバーではなかったのかと疑っております。あるいは、同会議のメンバーが特別公務員の資格を得る点を考慮しますと、国籍や外国との関係が問題となった可能性もありましょう。仮に、6名の間に何らかの共通項が見つかれば、国民は、その是非は別としても、首相による任命拒絶の理由を理解することはできます。(つづく)
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倉西 雅子 2020-11-05 20:54
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