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2019-07-27 17:38

(連載2)アメリカはイランとどう立ち向かうのか?

岡本 裕明 海外事業経営者
 ではイランは今後どう動くのでしょうか。私は相当な反米体制を打ち出してくるとみています。今回の核濃度も5%程度まで引き上げるとしていますが、目先20%程度まで引き上げる準備はしてくるとみています。その場合、アメリカは追加制裁を行うわけですが、大統領選が目先にちらつき始めたトランプ大統領として当然ながら国民受けしやすい厳しい対策を打ち出してくることもほぼ想定できます。
 
 これでは中東の不和を生み出し、予想しがたいテロや報復合戦すら起こりえる状況になります。原油価格や金(ゴールド)の価格上昇とともに世界経済へ冷や水を与えかねません。また、イラン核合意の残りの国、英、仏、独、ロ、中とアメリカとの対話も注目です。その中で英国とドイツはトップが実質不在ないし、影響力の低下が見えるので、フランスのマクロン大統領がアメリカとの交渉窓口に立つ重責を負うことになるでしょう。これはトランプ大統領の性格からするとパチンと切れてしまうこともありうるわけで相当慎重な対応が求められると思います。
 
 イランはイスラムという宗教的背景の中で何を最大の価値とするのでしょうか?私はその宗教観を肯定し、家族や同じイスラムの人たちとの関係に力点を置くとみています。そこには「妥協」を許しにくい背景があるともいえます。よってイランと交渉で譲歩を引き出すのは至難の業であるかもしれません。唯一、トランプ大統領はある程度のところで自分なりの価値判断のもと、妥協をすることがあるのでそこをうまく引き出せるよう政権が誘導できれば良いと思っています。
 
 イランとは今、争いをするのがよいとは個人的には思っていません。そしてイランが暴走列車であり、走り始めるととてもリスクが高いことが気になります。(おわり)
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(連載1)アメリカはイランとどう立ち向かうのか? 岡本 裕明 2019-07-26 13:16
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