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2019-07-18 13:01
(連載2)米中による地球分割は止まらない
中村 仁
元全国紙記者
新聞論調を眺めますと、視野が狭すぎる。「G20閉幕、安倍外交の限界見えた」(朝日新聞)は次元が低すぎる。安倍外交を批判していれば、新聞の役割が果たせると錯覚しています。「米中首脳会談/制裁と報復の応酬に歯止めを」(読売新聞)は、「お説はごもっとも」の類です。「米中は今度こそ貿易戦争を止めよ」(日経新聞)は常識的すぎます。
米中摩擦以外のテーマに触れますと、G20は「2つのゴミ」で苦しみました。1つ目のゴミは海に漂流する海洋プラスチック・ゴミです。首脳宣言に「2050年度までに新たな汚染をゼロにする」を盛り込みました。その名は「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」、名ばかりで、そこに至る工程表は不在です。日本ではコンビニなどのレジ袋の撤廃、有料化が検討されています。手始めとして、やらないよりやったほうがいいにしても、プラススチック・ゴミ総量の2%にすぎないそうです。ネーミングで気取るより、全体としてどう進めるかの行動計画が必要です。
2つ目のゴミは、大気中にばらまかれている温暖化ガス(CO2)です。米国が後ろ向きで、国際ルール「パリ協定」からの離脱を米国が表明しています。「海中のゴミ」も「大気中のゴミ」も、地球環境に敵対する存在です。「所狭しと並んだG20首脳」との連想でいえば、産業経済の成長や人口増で、「地球はもうゴミで所狭し」と悲鳴を上げているのに、世界はまだ「経済成長」を求めています。
「米中による地球分割」に戻れば、「グローバリゼーションを進めれば、地球は一つなる」とかいう定理めいたものは、あらゆる次元で音を立てて崩れ始めました。「世界は軸が2つある楕円状の世界に向かう」のでしょう。「国家主権、グローバル化、民主主義の3つは同時に追求できない」も新しい定理になりつつあります。今回のG20に大きな意義があったとすれば、「地球はもう狭すぎる」「狭い地球を分割する時代を迎えた」「多くの定理の有効期限が切れ始めた」ことを認識させたところにあります。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)米中による地球分割は止まらない
中村 仁 2019-07-17 16:49
(連載2)米中による地球分割は止まらない
中村 仁 2019-07-18 13:01
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