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2019-05-24 12:40
(連載2)米国・トランプ大統領の外交姿勢
真田 幸光
大学教員
こうしたトランプ大統領はまた、韓国の文在寅大統領と電話会談した際、米韓自由貿易協定(FTA)の破棄と終末高高度防衛ミサイル(THAAD)撤収で圧力をかけていた、とも報告されています。即ち、トランプ大統領は過去数回の電話会談で文大統領に対し、米韓FTAを批判的に責め立てており、トランプ大統領は前述の文大統領との電話会談では、「180日以内にFTAを破棄する書簡を送り、貿易関係を破棄したい。あなたたちは私たち米国のカネを食い物にしている。また、あなたたちはTHAADのシステムに対する費用を支払うべきである。我々はなぜTHAADをそこに持っていかなければならないのか。」と言葉を荒げ、文大統領に迫ったようです。これに対して文大統領は、「貿易と安全保障は絡み合っている。経済的関係で一部誤解があるかもしれないが、結局は相互理解に到達することを願っている。」と回答したとされます。そして、著者であるウッドワード氏はこのやりとりについて、「トランプ大統領が米韓FTAと韓国の文大統領を甘く見た。」と評しています。
そして、マクマスター大統領補佐官(当時)は、THAAD撤収を主張するトランプ大統領を説得する為、「米国はTHAAD配備用地を99年間無償で借り、良い取引をした。」と話したが、トランプ大統領は地図を見て、「役に立たない土地である。すぐに米国に撤収しろ。」と答えたという記述も書かれており、更に、トランプ大統領は2017年7月、米国の国防総省で開かれた会議で、「在韓米軍は必要ない。なくても子どものように大人しく寝ているはずである。在韓米軍がなぜそこにいるのか分からない。すぐに皆連れて帰れ。」とも発言したとされています。朝鮮半島は大人しく米国の言うことを聞く、ポイントは中露であり、中露との軍事攻撃を想定する場合は、在日米軍基地とグアムの基地からの攻撃で足りるはずである、というのがトランプ大統領の基本的な考えのようであります。
私は、トランプ大統領のこうした、「驕り」にも似た考え方は、世界のバランスを崩し、世界情勢を悪化に導くものと考えます。トランプ大統領は、基本的には、「覇権主義者」であり、また、驕りのある人かもしれませんが、もう少し心ある、「協調の心に基づく均衡主義者」の気持ちを理解しないと、真の世界リーダーにはなれないと思います。
そしてまた、このトランプ大統領に限らず、私は世界のリーダーには、覇権意識があっても構わないが、しかし、一般市民の心も分かる、「義の心を持つ」真の世界リーダーになって頂きたいものであると考えています。(おわり)
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(連載1)米国・トランプ大統領の外交姿勢
真田 幸光 2019-05-23 14:52
(連載2)米国・トランプ大統領の外交姿勢
真田 幸光 2019-05-24 12:40
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