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2019-03-19 13:37
(連載2)米朝ベトナム会談失敗は双方、厳しい試練に
岡本 裕明
海外事業経営者
トランプ氏を取り巻く情勢は、このところ相当厳しいと言ってよいでしょう。ロシア疑惑、コーエン暴露、壁建設、債務上限、米中貿易交渉などはごく一部で、他にも難題は山積しており、インド・パキスタンの争いも話題に上がり始めています。ある意味、守勢の中で次期大統領選もにらみ、どうしても評点を上げる必要があります。そのため、ビジネスマン魂のあるトランプ氏はトップ同士のディールができると思い、金正恩氏との会談を安直に選んだ可能性があったのではないでしょうか?一部解説では「トランプ流交渉術でアメリカが若干有利」と論じるものもありますが、私は違うと思います。金正恩氏はトランプ氏との交渉機運を一旦損ねたため、次回の会談は劇的な進化がない限り、一年以上、俎上に上がってこないとみています。その場合、米国大統領選挙の行方次第では、トランプ氏のパワーがどうなっているかわからないリスクが当然予見できます。これは一見、北朝鮮不利と見えますがそうではなく、北朝鮮の中国に寄り添う姿勢がより鮮明になることを意味し、アメリカの北朝鮮外交の失敗につながる可能性がある、とみるべきです。
今回の交渉失敗でポジティブ・サイドなのが日本と中国、ネガティブ・サイドが韓国になります。中国は、米中貿易交渉でトランプ大統領が次は失敗できないという姿勢で臨むため、米国はディールに乗る可能性が高まるとみています。これは中国を利します。日本は、朝鮮半島が一体感を増す中で、対日本という意識を持たれるのが一番怖いところでした。これが一旦は先送りされたので、戦略の仕切り直しとなります。一方、韓国の文大統領は相当困るでしょう。もともと国内経済がボロボロになっている中で、北朝鮮ディールのみでやりくりしている「一本足政策」ですが、このままでは両足がついてしまうかもしれません。
今回の会談、「決裂」と言っても過言はないでしょう。トランプ氏はポジティブな表現を使っていましたが、そこはパブリック向けの言葉です。実態としては散々なものだったと私は認識しています。金正恩氏がトランプ氏とのディールを継続したいなら、完全非核化のカードを切らないと厳しくなります。
北朝鮮は外交交渉メンバーが少なすぎて、金正恩氏が屏風になれないところに、交渉能力の弱点を露呈しています。逆に言えば、金正恩氏は内政に相当苦心しているとも言えます。ごく少数の側近しか頼れない、極めて緊迫した国内情勢が、準備不足の博打的な今回の米朝首脳会談に立ち向かわせた可能性も大いにありそうです。(おわり)
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岡本 裕明 2019-03-18 14:21
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岡本 裕明 2019-03-19 13:37
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