しかし、貧しいアフリカが宇宙進出を目指すことを一種の「贅沢」とみなす意見もあります。実際、2000年代の資源ブーム以来、その経済成長が注目を集めるようになったとはいえ、アフリカはいまだに世界の最貧地帯です。世界銀行の統計によると、サハラ以南アフリカ平均で41.0パーセント(2013)の人口が1日1.9ドル以下の生活水準にあり、15歳以上の女性のHIV感染率は58.7パーセント(2016)と地域別で断トツで高く、相次ぐ内戦などによって難民数は約600万人(2016)にのぼります(World Bank, World Development Indicators Database)。これまでに人工衛星を打ち上げた国は、他のほとんどのアフリカ諸国より経済水準などで高いとはいえ、それでも人工衛星打ち上げには批判もあります。例えば、南アフリカでは約770万ドルをかけて製造した人工衛星サンバンディラサット打ち上げの際、議会では野党議員から「その資金をもっとよい使い道に回せたはず」と批判があがりました。この種の議論は人工衛星以外にも、例えば高速鉄道の敷設などでもみられます。