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2017-11-15 09:47
(連載2)中国本土の「一帯一路」と「AIIB」のセット戦略化について
真田 幸光
大学教員
そして、こうした中国本土の交易拡大ルートとして、理論武装され、ターゲット化されたものが、「一帯一路構想」であります。その範囲はご高承の通り、中国本土から、中央アジア、中東、トルコを経て、バルカン半島、そして、大陸欧州を経て英国、次に中国本土から一旦南に下り、東南アジアから、バングラデシュ、インドパキスタンを経て、中東から大陸欧州、英国まで、そして、海のルート、中国本土沿岸からベンガル湾、インド洋、ペルシャ湾を経て中東、大陸欧州、英国までとなっており、中国本土が、輸入して輸出するには最適の国々がそのルートに横たわります。
しかし、このままでは、「一旦、中国本土が資金を払い、その資金を取り戻してくるだけですから、中国本土は付加価値分程度しかメリットが無い」という状態となります。そこで、中国本土は、「世界から資金を集め、その資金も合わせて、これら開発途上国に資金供与し、その資金を中国本土の輸出や中国本土企業によるインフラ開発によって取り戻してくることによって、結果的には、世界から集めた資金を中国本土に取り戻す」という戦略を取り始めています。そして、世界から資金を集め、開発途上国にその資金を分配する機関として設立したのが、AIIBとなります。
今年、AIIBは、S&Pなどの世界三大格付け機関から国際機関に認定され、トリプルAの格付けを取得したことから、今後はじわじわと世界から資金を調達、その資金を一帯一路構想を念頭に置きながら、開発途上国に資金分配、その上で中国本土からの輸出、中国本土企業によるインフラ開発を更に進めてくることが予想されます。
こうした結果として、中国本土の経済的繁栄は外需によって維持される、よって、国内経済の安定成長化をカバーする先を海外の開発途上国に求めつつ、これらの国々との経済的連携を強めつつ、外交、軍事的連携も深めて行くという見事な国家戦略を策定、推進し始めていると私は見ています。日本にとっては、ある意味では、「恐るべし、中国本土」であります。(おわり)
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(連載1)中国本土の「一帯一路」と「AIIB」のセット戦略化について
真田 幸光 2017-11-14 10:21
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(連載2)中国本土の「一帯一路」と「AIIB」のセット戦略化について
真田 幸光 2017-11-15 09:47
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