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2016-04-22 11:28
(連載2)予算前倒しに疑義あり
田村 秀男
ジャーナリスト
もたつく景気を立て直すために、安倍首相周辺は来年4月予定の消費税率10%への増税を延期し、さらに28年度予算を前倒し執行し、続いて補正予算編成に取りかかろうとしている。もっともらしいが、増税見送りを除けばこれまでの財政運営と大差ない。
公共投資など予算を前倒し執行すれば、確かに景気は反転しよう。しかし、予算を先食いすれば、その反動が来る。空になった予算の補充のために、秋には大型補正予算を組むというわけだが、では29年度予算はどうするのか。消費税増税しなければ、財政支出を削減するしかない。25年度以降の急激な財政の緩和・緊縮の繰り返しであり、結末は景気の停滞になりかねない。かの一党独裁国ならいざ知らず、突然財政のアクセルを踏んだかと思うと、狂ったように急ブレーキをかけるという先進国はほかにあるだろうか。
政治的動機は無視できない。夏の参院選、あるいは取り沙汰される衆参同日選が念頭にあるなら、28年度予算執行の前倒しと大型補正は当然の選択かもしれない。だが、財政を目先の政治の道具にするなら、脱デフレ、すなわち日本経済再生はおぼつかない。アベノミクスに代わる案は与党にも野党にもない。安倍政権の責任は重大だ。
安倍首相は粛々と増税凍結を宣言し、持続的な経済成長を確実にするため、財政支出の継続的な拡大を決断すべきだ。日本国債は国際的に高く評価され、国内外の投資家は金利を払ってでも日本国債を喜んで買う。その結果、円高が進んで株価は下がるが、国全体にとってはチャンスだ。政府はマイナス金利債を増発して供給を増やせばよい。金利ゼロ以下の資金で教育、先端技術開発、インフラ整備、待機児童解消などに使って需要を創出し、現役・次世代を元気にさせる。緊縮財政からの転換は今しかない。(おわり)
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(連載1)予算前倒しに疑義あり
田村 秀男 2016-04-21 18:13
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(連載2)予算前倒しに疑義あり
田村 秀男 2016-04-22 11:28
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