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2015-11-02 17:30
米韓首脳会談:“同じ声をあげよ”の意味
倉西 雅子
政治学者
南シナ海の係争海域では、今この時間にも、中国が、人工島の施設建設作業を続けていることでしょう。埋め立ての一方的な強行のみならず、人工島に領海まで設定しようというのですから、国際法に違反することは言うまでもありません。
中国の国際法違反行為は、係争の相手国をはじめ、国際社会から厳しい批判の声を浴びてきましたが、アジアにあって、韓国だけは、黙認するかのように中国批判を控えてきました。その背景には、政治・経済両面にわたって中国との関係強化を強めてきた朴政権の親中政策がありますが、中国配慮の他に、もう一つ理由があるとしますと、韓国自身の無法体質が挙げられるのではないかと思うのです。
韓国には、サンフランシスコ講和条約の発効を前にして、違法に李承晩ラインを設定すると共に、竹島を不法に占拠した過去があります。また、政府のみならず、韓国企業もまた、お世辞にも順法精神が高いとは言えず、知的財産権を侵害した廉で訴えられる事件が後を絶ちません。スマホをめぐるアップル社とサムスン社との係争はよく知られていますが、先日は、新日鉄住金に対してポスコが和解金の支払いに応じています。韓国の警察・司法制度についても、法を無視した“政治判断”としか言いようのない、耳を疑うような判決も少なくありません。つまり、韓国では、法の支配の価値が欠如しているのです。
こうした韓国の体質を考慮しますと、米韓首脳会談におけるオバマ大統領の“同じ声をあげよ”の要求は、韓国に対して法の支配の価値を持つよう求めたのではないでしょうか。先だって、日本国政府も、外務省サイトや「外交青書」などにおいて、韓国に関する記述から価値観の共有を削除しましたが、価値観を共有しない形での日米韓の連携は絆なき脆き関係にならざるを得ません。そしてその一方で、中韓の接近も、“人治”という価値観の共有に基づく結束として理解できるのです。果たして、韓国は、法の支配に向けて自己改革に踏み出すのでしょうか。
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