「戦争反対」という漠然とした理由だが、これは、戦後70年の我が国の平和と繁栄の要因を憲法9条によるものと誤った安全保障観に基づくと思われる。国会前のデモなどで、こうしたプラカードを持つ人々が、特に若者を中心に予想外に多かったことに、少し驚いた。けだし、こうした世界的に見ても極稀な誤った認識が、我が国では少なくない割合で人々に浸透しているということは、或いは、我が国が抱える最大の「今そこにある危機」なのではないか。話はそれるが、1983年、「米国企業の競争力喪失」という危機感を背景に教育改革を通じた社会・文化の再建を訴えた『危機に立つ国家』(A Nation at Risk)という報告書がレーガン米政権に提出され、当時大きな話題となったが、今、我が国においても、「不安定な安全保障観」という危機を除去すべく根本的な教育改革が必要なのではないか。(つづく)