ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2014-12-07 20:00
(連載3)有権者の本音が見えない
尾形 宣夫
ジャーナリスト
各紙が伝えるように、世論調査結果は各党にとって意外であり驚きだった。圧勝を予測された自民党は、かなりの議席減を覚悟していただけに世論調査結果は意外だったし、うれしさをかみ殺しながら態勢の緩みの引き締めにかかっている。一方の劣勢野党は驚き、それこそ態勢の立て直しを迫られたというから、政党の資質を問いたくもなる。
言うまでもなく、今度の総選挙は日本のこれからの進路を問うものだ。ところが、政治は国民の期待とは裏腹なところで動いている。現段階で見るなら、今回の解散は政治的には絶妙のタイミングだったかもしれないが、国民目線からすればタイミングの善しあしは関係ない。アベノミクスと戦後レジームからの脱却という2刀流使いに不安を抱きながら、かといって野党に期待しようにも期待できない現実に戸惑う有権者の複雑な心理が表れたのが今回の世論調査だと思う。大手某紙が書いているように総選挙が「安倍政権の信認投票」ならば、自公連立政権の勝利は安倍政治のアクセルをさらに踏み込むことになる。有権者の多くはそれを望んでいるのだろうか。
前にも書いたが、自民党が定数の6割を超える294議席を確保する圧勝だった2年前の衆院選は、一皮むけば小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約4分の1、比例代表に至っては5分の1に過ぎない。雨後の竹の子のような政党が飛び込んできて既成政党への批判票が分散してしまい、小選挙区制の特性が自民の圧勝を後押ししただけである。
アベノミクス1つとっても、成熟した日本経済に旧来の成長戦略がふさわしいとは思えない。熟年、高齢者に精力剤を飲ませて「早く走れ」「もっと働け」と言うに等しい。経済は生き物だ。政権が最も重視する高株価も、外国人投資家主導のマーケットだから、彼らの動き次第で急落する可能性は十分想定しなければならない。さらに現状では、アベノミクスに隠れて見えない「安倍外交」が総選挙後に顕在化するのは時間の問題だろう。1票を投ずる前に考えてみたいことは多いはずだ。非力な野党を元気づけるのも有権者に求められる責任ではないのか。(おわり)
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)有権者の本音が見えない
尾形 宣夫 2014-12-05 17:54
┗
(連載2)有権者の本音が見えない
尾形 宣夫 2014-12-06 12:11
┗
(連載3)有権者の本音が見えない
尾形 宣夫 2014-12-07 20:00
一覧へ戻る
総論稿数:4819本
グローバル・フォーラム