国連憲章第51条〔自衛権〕が個別的又は集団的自衛権の行使を認めているのは、「武力攻撃が発生した場合」で、「武力攻撃に至らない侵害が発生した場合」については言及がありません。この点に関して、集団的自衛権に関する先例的判決として著名な国際司法裁判所のニカラグア事件判決は、国家は「武力攻撃」を構成しない行為に対して「集団的な」武力対応の権利を有しない(States do not have a right of “collective” armed response to acts which do not constitute an “armed attack”.)と判示(パラ211)しています。