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2014-11-05 00:00
(連載2)日米ガイドライン中間報告「アセット(装備品等)の防護」の問題点
桜井 宏之
軍事問題研究会代表
ここで問題になるのが、武器等防護の武器使用が、警察権の行使とされている点です。閣議決定の理論的根拠となった安保法制懇報告書(2014年5月15日)では、「個別的自衛権や警察権を我が国独自の考え方で『拡張』して説明することは、国際法違反のおそれがある」(23頁)として、平時における米艦防護の根拠を警察権に置くことを戒めていました。閣議決定が、安保法制懇報告書のこの指摘をなぜ無視しているのか、全く合点がいきません。
それでは、自衛権に根拠をおいて(集団的自衛権の行使として)米軍の装備品等の防護を行えば良いかといえば、こちらにも問題があります。閣議決定では、武器等防護の武器使用は「米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合」を想定して法整備するとしています。
国連憲章第51条〔自衛権〕が個別的又は集団的自衛権の行使を認めているのは、「武力攻撃が発生した場合」で、「武力攻撃に至らない侵害が発生した場合」については言及がありません。この点に関して、集団的自衛権に関する先例的判決として著名な国際司法裁判所のニカラグア事件判決は、国家は「武力攻撃」を構成しない行為に対して「集団的な」武力対応の権利を有しない(States do not have a right of “collective” armed response to acts which do not constitute an “armed attack”.)と判示(パラ211)しています。
従って、米軍に対する武力攻撃に至らない侵害に対して自衛権を根拠に自衛隊がこれに武力対応すると国際法違反に問われてしまうわけです。このまま法整備が進めば、自衛隊が国際法違反に問われかねない事態が生じることになりかねないのですから、政府はこの問題に関して検討し直す必要があると考えます。(おわり)
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