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2014-09-12 10:53
(連載1)創刊以来の朝日新聞の危機
中村 仁
元全国紙記者
従軍慰安婦の捏造報道、福島原発からの撤退をめぐる誤報で、というより、これも捏造報道で、朝日新聞社がやっと謝罪しました。朝日を含め新聞、テレビがくどいほど報道してきた企業の不祥事対応のまずさの典型的なケースにそっくりです。テレビ朝日が売り物にする辛口の番組「報道ステーション」は、これまた遅ればせながら、やっと検証特集を組み、親会社の意向が支配する日本の企業集団の特質がメディアにおいても、同じであることを改めて証明してくれました。
不祥事が発覚すると、当事者の企業は当初、筋の通らない釈明を続けて逃げ切ろうとします。ごまかせないと分ると、記者会見をして謝罪します。社会的反響が広がり、対応の遅れによる傷口の広がりで、企業の存続に重大な影響がでるに及んで、社長が辞任を表明します。普段、高邁な主張をしている朝日新聞もその例外ではありませんでしたね。
今回の問題は、社長の謝罪会見、検証報道、第三者委員会による検証では、まず解決できないほど根深い朝日新聞の体質があります。朝日は、よくいえば権力、国家に対する厳しい批判精神、悪くいえば、強引な反権力、反国家精神からさまざまな問題が派生します。それが朝日新聞の強みにもなっているし、基本的な欠陥にもなっています。強みをなくせば、欠陥は解消する一方で、朝日の特色なくなります。簡単なことでは朝日の再生は進まないでしょう。
よくある誤報と違っていたのは、慰安婦、原発という国の根幹にかかわる問題が舞台になったことです。これらは一過性の誤報ではありません。戦争を主導した国家、軍部の責任追及キャンペーンという流れの中で、慰安婦報道の誤報、捏造(慰安婦の強制連行があったとする吉田証言)がおきました。また、編集方針の基本にすえている反原発キャンペーンの流れの中で、「命令に違反し、原発から撤退」という誤報、捏造が記事になったのです。反権力、反国家につながる報道になると思ったから力が入ったし、暴走してしまったのでしょうね。(つづく)
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中村 仁 2014-09-12 10:53
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