ところが、南アフリカの場合、この三者のトライアングルは、必ずしも国民に恩恵をもたらしているとは言えません。例えば、労働組合のアンブレラ組織である南アフリカ労働組合会議(Congress of South African Trade Unions: COSATU)は、米誌『Forbes』によると、総資産が227億ドル以上にのぼる、南アフリカ屈指の資産家で企業家のP.モツェペ(Patrice Motsepe)氏から資金援助を受けているといわれます。企業家から支援を受けること自体、組合の独立性を損なうもので、実際にCOSATUは、鉱山労働者の組合である全国鉱山労働者組合(National Union of Mineworkers: NUM)とともに、今回の事態を招いた責任が鉱山経営者にあると批判しながらも、彼らの自発的なストライキにも反対しています。これに対して、労働者側からは、労働組合に対する批判が公然とあがっています。(つづく)