昨年、チュニジアとエジプトでフェイスブックを通じた若者のネットワークがアラブの春を引き起こし、長年にわたる中東の民主化の夢が動き出したことは、非常に強烈な印象を世界に与えた。しかしフリーダム・ハウスは“Freedom in the World 2012”と題する報告書で「世界全体、中でもアジア、ラテン・アメリカ、南部アフリカを中心に民主主義が後退している」と警告を発している。専制国家が台頭する昨今、これは由々しき問題である。中国は東アジア圏での拡張主義に何の躊躇も示していない。ロシアではウラジーミル・プーチン大統領が「USAIDは今年の大統領選挙で反体制派の票が増えるように画策した」として国外退去を命じた。そしてイランは核兵器を入手しようとしている。こうした民主主義の後退は世界の中での日本の立場を危うくする。そこでグローバルな情勢を概括し、日本が採るべき道を模索したい。