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2012-01-06 08:06
(連載)日米両国で注目される今年の課題(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
世界は様々な混迷をひきずったまま2012年の幕を明けました。ヨーロッパ経済は莫大な負債と赤字により益々困窮化し、「新たな景気後退の波が押し寄せる」と専門家は予測しています。多くのヨーロッパ諸国の政府は大幅な出費の削減を打ち出しているようです。負債問題に加えて、日本や米国も同じく昨年から山積している問題が引き続き今年のニュースの焦点になるだろうと思います。東日本大震災と津波の被害の復興および福島第一原発の収束に向けた更なる日本の努力に、世界は注目すると思われます。また、ヨーロッパ及び米国の財政困難の影響を受けて高騰している円高が輸出業界に多大なダメージを与え、結果的に海外に工場を移転する企業も増えていて、これが日本国内の失業を加速させる原因になっている事をメデイアは報じています。
更に、昨年6月24日の『内閣府』の報告書によると、「東日本大震災における被害推定額」の総計は16兆円以上に上ったとされています。その莫大な損失額や国の負債を埋めるための政策として、現在日本では消費税増税や社会保障の一体改革が議論されています。また、TPP交渉への参加をめぐる問題、福島原発の後遺症として浮上した脱原発論の是非などが、日本を大きく二分しているようです。3・11の後遺症も想像を絶する規模であったため、日本は今年も楽観できない年になるとの見方があり、世界は引き続き日本に注目すると思われます。
今年、米国で特に注目される問題には、11月の大統領選挙、オバマ政権が可決した医療改革法案の改正に関する米国最高裁の決定、「ウオール・ストリートを占拠する」(OWS)運動のゆくえなどがあげられます。1月1日の『ギャロップ』の世論調査によると、共和党の大統領選候補者の一人である、ミット・ラムニー氏は支持率が24%、ニュート・ギングリッチ氏が23%になっており、オバマ大統領とラムニー氏を比較した場合、前者の支持率が53%、後者が50%との結果になっています。大統領選の最も重要な争点は経済であり、歴史上経済状況が悪いときの大統領は再選される可能性はほぼありません。今回の選挙は、現在の不景気の責任がオバマ大統領に向けられるのか、それとも共和党議員に向けられるのかがポイントになると思います。
選挙演説でオバマ氏は、中流階級を意識した経済の向上、失業率の改善などを力説しています。ラムニー氏やギングリッチ氏も同様に、経済の改善を強調し、特にラムニー氏は大幅な減税と政府出費の削減、遠大な雇用拡大、更に年金および健康保険の民営化を掲げています。ギングリッチ氏も共和党路線の減税、規制緩和、政府権限の縮小などをアピールしているようですが、2回も離婚暦があり、最初の夫人が癌で入院中に女性スタッフと不倫スキャンダルを起こし、人格的側面からの評価がマイナス要因になっています。ラムニー氏が予備選の候補者の中から最終的にオバマ大統領と対抗することになるのではないかと思います。その理由は、資金力の面で最も有力であり、モルモン教組織の強力なバックアップがあるからです。(つづく)
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