結論として、米中双方が米国の軍事力の優位性は認めており、双方が同様に「米中間の紛争はありえない」と明言しています。冒頭で述べたような米国の中国に対する陰謀説らしきものが浮上したとき、Why and how?と考える必要があります。過去60年間何らかの大義名分を見出しては世界のリーダー・シップの地位に固執してきた米国が、グローバル経済の崩壊に伴い、世界のスーパー・パワーの位置を失いつつある現状で、クリントン国務長官の声明で明記されたとおり、「後退より前進」を選択したその結論がアジア太平洋進出であり、TPP関与は、その最たる物であると思います。包括的で複雑な国際経済及び外交問題であるTPPへの日本の参加は、その利点、特に数値的メリットが明白に見えてこないため、世論を二分しています。日本の経済状況もほぼ米国と同じで、特に震災後、経済および社会的状況は緊迫を極め、非常に苦しい局面に遭遇し、また重大な岐路に立たされています。米国が提起したTPP問題に関しては、日本の指導者は様々な憶測や疑惑、また反TPPの風潮や極端な否定論に惑わされることなく、TPP交渉に前向きな姿勢を見せながらも、最終決定には冷静で慎重であって頂きたいと思います。(おわり)