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2010-05-19 09:36
(連載)オバマ大統領のクリーン・エネルギー開発政策について(3)
島 M.ゆうこ
エッセイスト
アメリカでは、ジミー・カーター及びジョージ・H・ W・ブッシユの両元大統領が「原油は、国家安全保障に関わる重大問題である」と宣言している。1977年からに第39代大統領に就任したカーターは、当時ソ連がアフガニスタンを侵略した際、「アメリカへの原油の流入を妨げた」として、ソ連を非難している。カーターは「湾岸領域を支配しようとする国は、アメリカの利害関係に打撃を与えるものである」とアメリカの立場を明確にした。これは、「原油の流れを安全確実なものにするためには、如何なる手段もやむを得ない」とする「カーター・ドクトリン」として知られている 。
アメリカのエネルギー資源は、ほぼ石油、天然ガス、石炭、原子力など再生不可能なエネルギー資源に頼り、しかもその大半を輸入原油に依存している。多くの科学者が「アメリカは2050年までに必要なエネルギーのほぼ50%を再生可能なエネルギー資源で補うことが可能である」との見方を示していることは、5月5日付けの本欄への投稿でも述べたが、国立公文書出版社(NAPC)の資料によると、現在、生物資源としてのバイオマスはわずか5%、水力発電は4%、地熱、太陽熱、風力などの自然エネルギーも1%で、再生可能なエネルギー資源の利用ははわずか9%に留まっている。エネルギー源である石油は特に問題がある。アメリカは、備蓄する原油の82%から88%をすでに消費しているうえ、その60%以上は輸入原油である。近い将来には、その80から90%を輸入することが予測されている。
アメリカの再生燃料の研究と開発が遅れている理由には様々な問題が原因になっている。例えば、現在利用度4%の水力発電は低コストで最も効率的なエネルギー源であるが、土地と水に莫大な投資が必要となる点が、主な欠点である。現在、ダムや貯水地などを含めた水力発電システムは、すでに莫大な土地を要し、将来も拡大する可能性はあるが、地下の堆積土砂と動物や植物、特に、鮭や他の魚の生態系を破壊するという深刻な問題がある。
『バイオ・サイエンス』誌によると、現在アメリカで利用されているバイオマス・エネルギーは、樹木を燃やして電力を発生させるシステムであるが、これは200種類以上の化学汚染を発生させることが明らかにされている。そのうち14種類はそれ自体が発癌性物質であり、4種類は他の化学品の発癌性物質を促進する化学汚染の大気中への排出である。(つづく)
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