国際政経懇話会
第293回国際政経懇話会メモ
「トランプ政権と日本」
平成29年5月25日(木)
グローバル・フォーラム
公益財団法人 日本国際フォーラム
東アジア共同体評議会
第293回国際政経懇話会は、ジャーナリストの春名幹男氏を講師にお迎えし、「トランプ政権と日本」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、オフレコを前提としている当懇話会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。
1.日 時:平成29年5月25日(木)正午より午後2時まで
2.場 所:日本国際フォーラム会議室(チュリス赤坂8階803号室)
3.テーマ:「トランプ政権と日本」
4.講 師:ジャーナリストの春名幹男氏
5.出席者:18名
6.講話概要
(1)ロシアゲート
ロシアゲート問題だが、これは米国の国家安全保障に関る重大な問題である。先日、トランプ氏はイスラエルのモサドから得た情報をロシアに流してしまった。それは、IS絡みとはいえ、他言してはならない情報であった。これまでCIAおよびFBIから漏れた情報からみて、ロシアがトランプ氏を脅して情報を得たこともあり得る。もし、それが事実であれば、トランプ氏が行った事は国家反逆罪にもなる。
(2)米露関係悪化
2017年1月28日に行われたトランプ氏とプーチン氏の電話会談で2点、米露間で意見相違があった。プーチン氏は「期限切れになる(New)START(新戦略兵器削減条約)を延長したい」と言った。しかし、トランプ氏は、「START」そのものが何かを理解していなかった。そして、トランプ氏は「米国とイランとの間の核合意をやめる」と言った。プーチン氏は、左記2点の意見相違で不安になったに違いない。しかも、米軍によるシリアへの攻撃もあったので、米露関係は悪化した。
(3)米中関係の現状
トランプ氏が大統領選時に言っていたものとは全く違う米中関係が構築されつつある。米中首脳会談は、中国側にとっては成功だった。北朝鮮問題の現状は、中国の思う壺となっている。北朝鮮への対応を、オバマ氏は失敗したが、トランプ氏もこのまま失敗したままとなるだろう。米国は中国を慌てさせなければならない。米国が北朝鮮と直接関係を持たないと、中国に対して優位に立つことは出来ない。米朝間のやりとりが今後どうなるのか、米朝首脳会談はハードルが高い。これからの米中関係も、注意を要する。
(4)日米関係の現状
安倍政権は、トランプ氏との関係構築を上手く始めることが出来た。日米共同声明は、日本側が作ったものであり、当日にトランプ氏から了解を得て発表されたものである。しかし、トランプ氏は内部対立を抱えたまま政権を運営している。そのような状況で、米国政府は力を十分に発揮出来るのだろうか?強い米国は、日本にとっても利益となる。それは、中国に対しても言えることである。トランプ氏は米国大統領職を辞任して、ペンス米国副大統領を後任の大統領職に昇格させた方が良くなるかもしれない。
(文責、在事務局)