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2008-05-19 12:11
日中教師の相互派遣を実施せよ
河合正男
白鴎大学客員教授・元大使
想像を絶する中国の大地震である。阪神淡路大地震の30倍とも言われるが、日本全体が一度に地震に見舞われたのと殆ど同じ大きさなのかもしれない。死者2万数千人と報じられているが、被害はまだまだ拡大していくのであろう。そこに日本の緊急援助隊が各国に先駆けて到着した。その活躍が中国内で感謝されている。日本としてはあらゆる可能な手段を持って中国に協力すべきである。このように中国側が日本の緊急援助隊を真っ先に受け入れたのは、胡錦濤国家主席の訪日で日中友好関係が進み、日本を重視するようになった表れだと言われている。結構なことである。中国側が再び日本を重視する姿勢に転じたこの機会に、相互理解を深める為の人的交流をもっと広めるべきである。
ヨーロッパでは、ドイツとフランスがかなり前から外務省員の人事交流までやっている。ドイツ人がフランス外交の一部を担当し、フランス人がドイツ外交の一部を担当している。私も数年前、JETROの理事であった時、韓国のカウンターパートであるKOTRA(大韓貿易投資振興公社)との人事交流を提案して、実現された。お互いのスタッフが自分の国とは関係のない業務を担当することにした。中国との間でこのような人事交流ができるようになるには、日中間の友好関係がもっと進み、確かな信頼関係が生まれなければならないが、これは将来の目標とすべき政策である。
今般の日中首脳会談では、青少年交流が重視されているが、私は教師の相互派遣も実施、拡大すべきではないかと考えている。私は3年前に大連外国語学院の大学院で1ヶ月間集中講義をしたことがある。「戦後日本の社会・経済の発展」について講義した。ちょうど抗日戦争勝利60周年に当たり、テレビでは連日、反日番組が流されていたが、学生達は戦後の日本が平和主義の下に発展した、との私の講義を熱心に聴いてくれた。私が課した論文の出来栄えもすばらしかった。私にとっても中国の現在を直接理解する良い機会であった。私は時間と機会があればまた中国の学生達に講義しに出かけたいと思っている。また、中国の先生方にももっと日本に来て講義してもらったらよいと思う。
人によると、プロパガンダのような講義になるかもしれないが、それでも良いだろう。中国の先生方は日本の現在をファースト・ハンドで理解して帰ってくれるであろう。マスコミはお互いの状況を正しく報道していないと言われる。事件を追うマスコミの報道から、お互いの国について偏ったイメージが作られ、両国の人達のスムーズなコミュニケーションを難しくしているところがある。ファースト・ハンドの経験、情報こそ、大きな違いのある両国の現状を理解しつつ、互いに人としての信頼を深めていくために大事なことである。先ずは地震被害への救援協力に全力を尽くすべきであるが、互いの日中協力重視の方向が更に進んで、青少年の教育に当たっている先生方の交流が増える段階にまで至ることを期待している。
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