安倍政権では、なんだかやたら気負った書生論ばかりだったが、それはそれで若い首相やその取り巻きの「危うさ、未熟さ」を仄聞することができた。メルマガを通じて国民に直接伝わった「鎧の下」の印象が、参院選に与えた影響も大きいのではないか。ところが、福田首相のメルマガは、なにやら「他人の言葉」を聴かされているかのようで、心に届かないこと甚だしい。そればかりか、今号のように「切れる」こと再三である。福田首相は、一体何のために「自分の言葉」を国民ひとりひとりに直接配信しているのだろう?自民党のためにも、日本のためにも役立っているとは、到底思えない。もちろんご自身のためにもなっていない。ちなみ親中派と目されている豪州・ラッド首相は、”While we respect China's sovereignty over Tibet, there are many, many problems when it comes to human rights abuses”と語っている。中国駐在経験の長い外交官だったラッド首相は、中国語を自在に操り、娘婿は中国人、息子は中国留学中である。「many, many」というくりかえしに、彼の苦悩が滲み出ている。チベット問題に対する豪州の対応を見守りたい。