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2025-04-11 16:13
(連載2)関税をおもちゃのように扱うアメリカに世界はどう立ち向かうか?
岡本 裕明
海外事業経営者
ただ、唯一の望みはブロック経済が内向きの経済として極めて悪質だということを一般的な経済学者はほぼ誰でも理解しているのです。故に現在は対アメリカだけが高関税政策を行い、それ以外の国が独自のブロック形成に動いていないことが救われるところです。個人的に思うのはアメリカは鎖国政策に近くなったということです。ウェルカムしないなら人も金も技術もアメリカには流れないのです。日鉄もUSスチールの買収を本気で進めるか、もう一度考えてもよいでしょう。日本はアメリカに投資をし続けてきたと石破首相は述べていますが、先方がその恩を仇で返すなら日本は別にアメリカに投資もせず、国債も買わなければよいのです。報復関税をしなくてもアメリカに積極的に金を流さないという沈黙の対策をすればよいのです。
アメリカ向けの工業製品が関税で売れないならそれを他国に回す機転を利かせるしかありません。冒頭の業務用日本酒にしろ醤油にしろ、目先は日本から直接輸出する手段を取るしかありません。多くの日本企業はアメリカを「輸出拠点のハブ化」にしていた部分があります。アメリカからカナダ、メキシコ、更には南米までのサプライチェーンを確保していたのです。そのアメリカがだめならメキシコでもカナダでもハブを新たに作ればよいのです。「簡単に言うな」と意見されるかもしれませんが、リスクはヘッジするものです。日本はアメリカへの依存度が高すぎた、これは反省すべき点でしょう。私はカナダで長年ビジネスをしていますが、過去何度も「なぜ、アメリカに進出しないのか?」と言われたことがあります。国境の向こうには10倍の市場と金離れの良いアメリカ人がいるじゃないか、というわけです。好きな国ではあったもののアメリカで何年か仕事をした経験を踏まえると、しっくりこなかったのです。
一言で述べるとアメリカは勝者の世界なんです。優勝劣敗が酷くて負けても何度も立ち上がるのが美談として伝わりますが、一方で勝つ側の論理がエゴイスティックだったと思います。故にM&Aが成長したのです。その点、私の様な零細企業には共存共栄の発想があるカナダの方がやりやすかったのです。欧州はEUという組織で動く点は日本的な判断基準があると思います。ただし、彼らの要求度は非常に高く、日本がホイホイ市場参入拡大できるものではないでしょう。一方、日本製品やサービスの潜在需要は世界どこでもあります。それを売り込む、そして販売ルートとメンテの体制を作る根気と長期的視野の投資を展開すれば市場開拓は可能だと思います。
例えばあまり強硬ではないイスラム教国家であるバングラディシュなどは今後、時間をかけて市場開拓したらチャンスはあると思います。東南アジア諸国のイスラム諸国は日本と相性は悪くないと思います。また、南米、特にアルゼンチンとか、チリといった国々も日本とはウマが合うとみてます。穏やかで勤勉ですよね。日本人はそういう国をもっと発掘すべきです。アメリカというブラックホールの様な国に官民が吸い寄せられていたということです。アメリカを無視することはありませんが、一旦立ち止まり、もっと他にもあるのではないかということを考えてみてもよいのではないでしょうか?(おわり)
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(連載1)関税をおもちゃのように扱うアメリカに世界はどう立ち向かうか?
岡本 裕明 2025-04-10 15:54
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