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2025-01-10 21:40
(連載2)GDP世界第二位となっている中国本土経済の行方
真田 幸光
大学教員
就業者数についても、中国本土の都市部の就業人口は、新型コロナウイルス感染拡大が始まってから急激に減少し、ゼロ・コロナ政策が終了した2023年に回復を始めたが、まだ長期的な増加傾向と一致するほどには増えてはいないと見られている。それをもとに試算すると、4,700万人の失業者がいるとの見方も出来るとされている。2023年末現在の中国本土都市部の就業人口(4億7,000万人)の10%に当たる数値であり、小さくない失業者の予測値となる。
また、こうした状況を受けて国際金融市場からは、「中国本土経済は高齢化などにより、新型コロナウイルスん感染拡大以前の2019年から既に構造的な需要低迷周期に入っていた。内需低迷を解決できなければ、中国本土も日本のように失われた35年に直面する恐れがある。」との見方も出始めている。そして、「地方の現場では、過去2年間で配車アプリのドライバーが突然2,000万人も増えているが、中産階級の没落の結果である。」との見方が国際金融市場からも出ている。不動産バブル崩壊、大量失業、給与低下などで没落した中産階級が生計を維持するために配車アプリのドライバーに殺到しているとの分析である。
こうした状況下、中国本土政府の景気刺激策が景気浮揚には不可欠と見られているが、その政策についても否定的な見方が出ている。2008年の世界的な金融危機当時は4兆人民元の大規模な景気浮揚策が需要を創出して効果を上げたが、現状では、国家が借金をしてインフラ建設を加速する方式では限界があり、何よりも国内消費を引き上げることは出来ないであろうとの見方が出ている。更に、人口問題も加わり、成長期が終わろうとしている中国本土経済は、分配に焦点を合わせるべきであるとの声が内外から出てきている。
こうした中、「中産階級の所得水準に達していない低所得層は全体人口の65%で約9億人と推定される。」との見方もあり2021年時点で月収2,000人民元以下の人口が9億6,400万人に上るとの見方が経済誌にも投稿され、削除騒動に発展した。習近平国家主席は貧困層解消を自身の功績の一つに挙げてきているが、国内ではそれを真っ向から批判し始めている。人民解放軍内部の不正腐敗問題拡大もあり、習近平国家主席の権力掌握力が低下しつつあるのではないかとの見方も高まる中、経済でも不満が高まれば、「異例の三期目」に突入している習近平体制にほころびが生じる可能性もある。そして、それが今後の米中覇権争いに如何なる影響を与えるのかについてもフォローしなくてはならない。中国本土の行方には、今年は昨年以上に注意を払わなくてはならないであろう。(おわり)
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(連載1)GDP世界第二位となっている中国本土経済の行方
真田 幸光 2025-01-09 21:32
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真田 幸光 2025-01-10 21:40
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