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2024-08-05 23:29
(連載2)戦略変更に見えるイスラエル
岡本 裕明
海外事業経営者
イスラエルの戦略の話に戻しますが、このところ敵のキーパーソンをピンポイントで殺害してきています。7月だけでもハニヤ氏以外にヒスボラの司令官、ヒスボラの指揮官、ハマスの軍事司令官らを殺害しており、他に数名が殺害ターゲットに挙がっています。モサドは世界でも最高峰の諜報部隊ですが、昨年10月のハマスによるイスラエルへの攻撃を見逃した点において極めて大きな汚点がついていました。そのため、その汚名挽回を含め、ここに来て極めて大きな成果を次々と出しているとみています。
では、キーパーソンをピンポイントで殺害することで国際世論の批判をかわし、かつ、この戦いをイスラエルの全面勝利として終わらせることができるのでしょうか?個人的にはにわかには信じられません。ハメネイ師が報復を明言しているのでその規模と攻撃方法がどうなるか注目ですが、「目には目を…」的な発想の可能性を考えています。つまりロケットを打ち込まれればロケット弾で返すというように報復は基本的に同じ形にするケースが多くなっています。例えばアメリカと中国の経済制裁戦争でもアメリカが仕掛け、中国がお返しするという方法だし、中国人が拘束されればアメリカやカナダ人を拘束するというスタイルです。これがイランでも同じ発想だと想定すればイスラエルの要人暗殺には相当の注意が必要になってきます。
イスラエルがイランをはじめ、敵対国にスパイ網を張り巡らしているようにイランと同盟部隊も当然ながら同じようにイスラエルにスパイ網を巡らしています。そこから一定情報をもたらし、ピンポイントで攻める可能性は大いにあり、イスラエルの要人は今まで以上に注意が必要ではないかと思います。私が恐れているのは仮にその報復戦が成功裏に終わった時、イスラエルの抑止力はなくなり、全面対決を当然のごとく推し進めるリスクです。それも早ければ8月とか9月の話です。これは大統領選を控えるアメリカにとっても頭痛の種であり、大統領選に大きな影響が出るとみています。それこそ「ほぼトラ」とか「確トラ」だった話は10月の選挙直前の世界の状況を見なければわからないという話になってきます。
昨日もバンクーバーの目抜き通りでは反イスラエルの集会が開かれ、祈りをささげるイスラム系の方と共にその周辺をどう見てもイスラム系には見えないカナダ人が反イスラエルを声高に訴えていました。同様の反戦の動きは北米各地の大学でずっと続いており、世論のイスラエルへのイメージは悪化の一途を辿っているように見えます。先行きが懸念されます。(おわり)
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(連載1)戦略変更に見えるイスラエル
岡本 裕明 2024-08-04 23:25
(連載2)戦略変更に見えるイスラエル
岡本 裕明 2024-08-05 23:29
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