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2023-01-20 21:54
多様性を誇る国 パプアニューギニアについて
真田 幸光
大学教員
中国本土が南太平洋諸国に食指を伸ばしていることはご高尚の通りです。中国本土は、今現在は、ものづくりを軸とする、「世界の実体経済」をリードする大国であり、その実体経済を支え、安定させる為には、「資源、エネルギー」は不可欠となります。そして、南太平洋諸国は、小さな国ばかりですが、その、「資源、エネルギーが眠っている地域」であり、だから、中国本土が食指を伸ばしているのであります。アメリカは遅ればせながら、こうした中国本土の動きを察知、フィジーなどを取り込んでいますが、中国本土は今のところ、優勢と見られます。一方、中国本土にはこの地域に、「フランス」と言うライバルもいます。フランスは、大航海時代以降、海外県・海外領土(通称DOM-TOMフランスがヨーロッパ以外に有する13の地域の総称である。)を持ち、そのほとんどはフランス植民地帝国時代の名残で、脱植民地化後もさまざまな形でフランスの一部として残ることを選んだ地域であり、南太平洋にもフランスは未だに権益を持っています。因みに、これらのドムトム地域は欧州連合の一部でもあります。
さて、南太平洋諸国の中で最も人口の多い国は、パプアニューギニアでありましょう。パプアニューギニアは、南西太平洋地域にあり、ニューギニア島の東半分と周辺の島々からなる国です。文化の多様性だけでなく、生物の多様性も誇る国で、その分野の学者には宝の宝庫だそうです。ビーチやサンゴ礁でも有名であり、内陸部には活火山の他、花崗岩のヴィルヘルム山、草木の生い茂る熱帯雨林、ココダトレイルといったハイキングルートもあります。また、伝統的な部族の村も残っており、その多くは独自の言語を持っています。首都はポート・モレスビー、1人当たりのCO2排出量は0.86トン(2019年)、出生率3.48人(2020年)、GDP成長率1.5%(前年対比、2021年)、国内総生産265.9億米ドル(2021年)、1人当たりのGDP2,916.36米ドル(2021年)国民総所得は395.4億米ドル(2021年)などとなっています。
ところで、パプアとは、メラネシア地域の人種区分を示す用語として使用されてきましたが、言語区分の用語として「パプア諸語を話す人々」の意味で使われており、また、「パプア」は、もともとはマレー語で「縮れ毛」の意味であり、この地域の住民の髪が縮れていることから、この名称が使われたとも言われています。ニューギニアの方は、アフリカのギニアを意識しての、新しいギニア、ニューギニアであるそうです。また、パプアニューギニア国内で、かつてイギリス領だった南海岸地域を、北海岸の「ニューギニア」地域と対比させて、「パプア」と呼ぶこともあります。
また、そのメラネシア地域の言語は非常に多様であり、この地域だけで1,000以上の言語が存在しています。これらの言語は大別すると、オーストロネシア語族とパプア諸語とに分けられ、パプア諸語は互いの関連が不明であることから語族とはみなされなかった為、「諸語」と呼ばれたり、あるいは「非オーストロネシア語族」などと呼ばれてきましたが、近年、研究が進むにつれ、徐々に互いの関係が解明されつつあり、数種の系統に分類されることが分かってきたとされています。たくさんの語族、文化、歴史、多様性を持つパプアニューギニア、引き続き関心を持ちたいと思います。
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