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2022-10-06 13:15

(連載2)薄っぺらだった日中国交正常化50年の式典

岡本 裕明 海外事業経営者
 こうみると本来お祝いムードになるべきところが盛り上がりに欠けたどころか何もなかったのです。日中双方が利用するだけ利用し、政治的には問題を起こさないようギリギリの配慮を続ける状態を暗示しているとも言えます。いわゆる友好関係は盛り上がったり盛り下がったりするのですが、それは主に政治的事情がコトを難しくするケースがほとんどです。日韓関係でも若い人や女性を中心に韓国のファン層が確立しているといってよいほど堅固なものがあるのですが、政治的には全くダメで改善の見込みもありません。中国に関しても日本人は中華料理が大好きだし、コロナ制約がなければ中国は観光のメッカなので旅行会社が大ツアーを組んでいたことでしょう。
 
 この構図を見れば人とのつながりやビジネス関係は悪くはなく、政治の部分がネックになっているとも言えます。その場合、双方の政府や政治家が距離と時間を置き、お互いの冷却期間を作る「不干渉関係」を経て関係改善のタイミングを計るという方法はあるにはあります。現在の問題のほとんどが中国の拡大主義によって日本が影響を受けているわけで習近平氏が外交に関して現状維持とし、一旦国内問題に集中するぐらいの方針を示せば状況は相当改善すると思います。もちろん、こんなことはまったくの期待薄ですが、国家と人権へのリスペクトを中国は学んでもらわねばなりません。
 
 日中関係を壊したいと思う人は少ないでしょう。ただ、極めて多くの日本人が中国を脅威に思っていることも事実です。我々は無防備故に何かあっても太刀打ちできるとは思えません。日本はこの50年間、中国に様々な技術移転をしてきました。あるいは違法な情報搾取や頭脳流失もありました。是非論を別にしてその助けもあり中国はようやく今の経済力を身に着けたわけで日本は感謝こそされど脅威にさらされる理由は何一つありません。
 
 国家という人格に国の大小は関係ありません。カラダが大きければ強いという時代ではありません。アメリカや中国という超大国も日本やもっと小さな国も同じだけの権利と義務をもち、リスペクトされなくてはいけません。中国には歴史的にその発想があるはずです。その精神をもう一度思い出してもらい、日中関係が維持できれば良いと思っています。(おわり)
 
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(連載1)薄っぺらだった日中国交正常化50年の式典 岡本 裕明 2022-10-05 17:30
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