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2022-07-28 14:12
(連載2)英国の保守党党首選が向かうところ
岡本 裕明
海外事業経営者
事実、オーストラリアも先般の政権交代を受けてそれまでの対中国強硬姿勢から親中に偏るのではないかと懸念されていましたが、実際に急速な貿易拡大が足元で見られます。オーストラリアから中国への資源輸出です。ということはクワッドに対してインドの自己中心主義によってその団結力に疑問符がついていたところに「オーストラリアよ、お前もか」という感じではあります。それに続いて、英国が対中政策の変更をするのか、ここが最大の注目ポイントだと思います。
では対抗馬のトラス氏はどうでしょうか。外務大臣である氏の最大の特徴はジョンソン首相の政治的思想をほぼ引き継いでいる点です。一部には「新たな鉄の女」(インディペンデント紙)との声もあるそうですが、私が見る限り、首相の器ではありません。サッチャー女史にならぶような箔付けをインディペンダント紙がするようならば同紙のクオリティもタブロイド並みではないかと勘繰ってしまいます。要は単なる頑固でジョンソン首相の前任のメイ氏と同じタイプでしょう。政策についてもポピュリズム一徹です。「減税はすぐやる」「法人税引き上げ計画は撤回」「4月に導入した国民健康保険料引き上げ停止」など経済の本質を十分に理解していない可能性が高いとみています。多分ですが、彼女の手腕では英国をまとめることはできないでしょう。
一方、日本の立場からすればトラス氏の方が都合はいいはずです。厳しい外交路線を貫き、TPP加盟申請に尽力しており、中国との距離もきちんと保つタイプです。こう見ると私はスナーク氏こそがマーガレット・サッチャー女史と同じ系統のタイプで彼こそ「鉄の男」だとみています。つまり一般受けは悪いというのが世間相場です。実際、下馬評でもトラス氏の方が現時点では有利と出ています。
お前はどっちが良いのか、と言われれば正直、強烈な一長一短で何とも判断しがたいところです。外交と英国保守党の体面を考えればトラス氏、英国を再生させるぐらいのビジョンを期待するならスナーク氏ですが、どちらの首相になっても野党の思うつぼだとみています。つまり、保守党政権そのものが維持できなくなるかもしれません。保守党が野党に下野することをそろそろオプションとして取り込んでおかねばならないかもしれません。(おわり)
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(連載1)英国の保守党党首選が向かうところ
岡本 裕明 2022-07-27 20:40
(連載2)英国の保守党党首選が向かうところ
岡本 裕明 2022-07-28 14:12
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