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2022-06-10 08:19
(連載2)効果が分からない出費が急増する日本の財政
中村 仁
元全国紙記者
中国や北朝鮮の動き次第では、巨額の防衛力、防衛費は無に帰します。何を考えているのでしょうか。「効果」を考えないまま、「必要なカネだから」として「費用」がどんどん膨らんでいきます。消費税引き上げ(2%程度)を財源にすれば、国民の負担コストがたちまち上がる。国債を増発しても、いずれは後世代の負担になる。
地球環境・脱炭素化社会はどうでしょうか。その脱炭素化の流れはウクライナ戦争を契機に、逆流現象が起きており、石炭火力が復活しています。それなら日本が得意とする燃焼効率のいい石炭火力発電を冷遇すべきではなかった。そのほうが結局、脱炭素に効果がある。経団連は「国際目標(2030年)の達成には400兆円の投資が必要で、環境国債(グリーンボンド)の発行を」と要求しています。最大の温暖化ガスの排出国・中国やインドは脱炭素化に熱意がありません。日本はどこまで国際目標に忠実に対応していくのかを考える時です再生エネルギーに加え、原発の再稼働、運転時期の延長、さらに石炭火力を維持して対応する。そうした展望を持ちながら「費用対効果」を考えていくことです。効果を考えないまま、費用が先行するのは愚です。
また、財政再建の方針について、政府はこれまでの目標(2025年に基礎的収支を黒字化)を明記することをやめました。「実現不可能な目標になってしまったから外した」というより、「これからも財政拡張を継続する」というところが本音でしょう。「経済成長によって財政を健全化する」というのが安倍氏らの考えで、岸田首相を押しきりました。財政を健全化できるほどの経済ではもうあり得ません。単なる願望か、口実を述べているにすぎません。
本来ならほとんどの主要国が設置している独立財政機関は、日本が最も必要としています。政治の思惑、駆け引き、利益誘導と一線を画し、財政政策について分析、提言をする独立機関です。財政拡張派は本来、「独立機関を設置して、効果をチェックしてもらってもいい」くらいのことを言うべきなのです。そうした機関を持たないまま、政治的願望、歪曲で彩られた財政論は「費用対効果比」を捨て去っています。こうして効果が分からないカネが注ぎこまれ、高コスト社会化が進み、結果として経済の活力が失われていくという悪循環です。(おわり)
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(連載1)効果が分からない出費が急増する日本の財政
中村 仁 2022-06-08 20:59
(連載2)効果が分からない出費が急増する日本の財政
中村 仁 2022-06-10 08:19
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