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2022-04-22 19:05

(連載2)戦争とその果実

岡本 裕明 海外事業経営者
 個人的には戦争の当事者は得るものはない時代だと考えています。特に現代国家では、国内に産業発展のためのあらゆるインフラや資産が整備され、多額の民間の資金も投じられており、その価値は100年前の近代国家の比ではない莫大なものになっています。それらを破壊し合っている間は双方必死ですが、終わってみれば、体制の存続すら危ぶまれるほどの損失を計上しなくてはいけません。
 
 ではそれを外側から支援する国は戦争特需で湧くのか、といえば今回のウクライナの戦争を見れば今のところ、特需で沸いたのはごく一部の業界や産業だけで国家ベースで見ればどこかの国が甘い果実を吸ったという事実が出るには至っていません。もちろん、今後、どういう形でこの戦争が終結するのか、全く予断を許しませんが、双方の国家とも国家としての形を維持できるのか、その原点にまで立ち返らなねばならないことも想定しなくてはいけないでしょう。
 
 また近年は経済制裁という、形を変えた戦争的行為も頻繁に使われています。これはルールを変えるだけのやりやすさがあるため、どの国もいとも簡単に踏み込んでしまう手段でありますが、果たしてこれが本当に正当性のある行為であるのか、ここにきていろいろな意見も出てきています。つまり、経済制裁は簡単に踏み込めるがゆえに、使い方を間違えると深刻な事態になるという訳です。例えば世界経済は二分化するかもしれません。新たな別々の経済圏の樹立となればグローバル化の後退になります。
 
 争いのない社会の実現は困難であります。が、争う代償がこれほどになるのか、ということを人々はもう一度はっきり見つめなおさねばなりません。ウクライナで起きた今回の戦争は人々の心に深く刻み込まれるでしょう。もういかなる戦争も不必要です。(おわり)
 
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(連載1)戦争とその果実 岡本 裕明 2022-04-21 22:06
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