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2022-01-07 19:55

(連載2)近くて遠い朝鮮半島の今

岡本 裕明 海外事業経営者
 日韓関係が動くときは歴史的に見ても韓国世論が変わる時しかなく、それは中国との関係が悪化した時か日本との関係が喉から手が出るほど欲しい時のどちらかしかありません。つまり日本から働きかけてもよくなることがないのが日韓関係の歴史だとみています。徴用工問題や10年目を迎えた慰安婦像問題などを抱えている中、日本から歩み寄ることは考えられないのでメンタル的には「最も近くて最も遠い国」となりそうです。
 
 さて、北朝鮮ですが、忘れたころに一発、弾道ミサイルを放ちました。昨年10月以来ですが、この弾道ミサイルの政治的意味合いは小さいとみています。敢えて言うなら世界の目が北朝鮮に向いていないので気を引くために花火を打ち上げたとも考えらますが、軍事的実験の一環とみた方がよいのでしょう。北朝鮮の国民の疲弊度は限界に達しており、最近では金正恩氏の悪口を書いた落書きが見つかるなど不満感は相当溜まっているものと察します。とすれば国内向けの「ガス抜き」とも取れます。
 
 北朝鮮にももう少し国力があれば暴発する選択肢もあるのですが、腹をすかせた戦士では筋肉どころか「骨皮筋右衛門」でしょう。また金委員長が求めるアメリカとの対話もバイデン氏の放置プレーでにっちもさっちもいかないため、手詰まり感が強いとみています。アメリカの中間選挙でバイデン氏の不人気ぶりが結果に出たとしても大統領任期はまだ2年残っているわけで北朝鮮は我慢の数年になるのではないかと思います。一部ではアメリカが南北和平工作を少しずつ進めているとも言われますが、韓国大統領選を控え、少なくともそれがあったとしても表面化するには早くてもアメリカ中間選挙以降の話と思われます。
 
 最後に中国から見た朝鮮半島ですが、習近平氏にとって難問山積の中、半島情勢は優先課題ではない上に中国政府も「半島は面倒くさい」ことを察知しているので政治的にメリットがあるタイミングが来るまでやはり放置プレーではないかとみています。2022年もあの半島が大きく変わることはないとみています。(おわり)
 
 
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(連載1)近くて遠い朝鮮半島の今 岡本 裕明 2022-01-06 23:01
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