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2021-12-11 15:49
(連載2)北京五輪外交ボイコットの考察
岡本 裕明
海外事業経営者
アメリカやカナダ、英国と違い、日本は中国と地政学的にも歴史的にも深い関係があり、短絡的な判断をしにくいところがあります。カナダがアメリカとの関係にいつも苦労し、英国がフランスとつかず離れずの関係にあるの同じです。では、日本がカナダとアメリカの関係に口を挟んだとすれば彼らは「お前の知ったことではない」というでしょう。英国とフランスについては「歴史的重みと今日の出来事を同じ天秤にかけることはできない」と述べるかもしれません。北京五輪の外交的ボイコットをアメリカ、オーストラリア、英国、カナダが発表しました。アメリカは外交的ボイコットを他国に強要しないとしています。ニュージーランドはコロナを含めた自国の都合で閣僚を送り込みません。イタリアは次の冬季オリンピックがあるので閣僚を出します。フランスも検討中ですが、出すと思うし、ドイツも出すでしょう。ロシアはプーチン氏の出席が取りざたされています。親中国国家であるギリシャは出るし、インドは外交とスポーツは別物というスタンスを取ります。
では日本は、と言えば「他国の出方を見て」という流れです。自分の意見はないんかい、と思います。外交的独立をしているのであれば必ずしも風見鶏である必要はないのです。林外相の中国訪問の可能性について検討が続いているようです。その間、「中国が正式な招待状を出したことはない」との関係者の発言を紹介した(産経)とあります。中国はメンツの国ですので顔を潰されたと怒っているわけです。そもそも林さんがそんなこと、公表しなければよかったのにと思います。彼の失策でしょう。間違っていけないことは外交で揉めるならばコミュニケーションをより活発にすることが最重要だという点です。ウクライナを巡りアメリカの国務長官とロシアの外務大臣がリアル会談を行い、バイデン氏とプーチン氏はオンラインで3時間もやり取りしています。これは西欧では一般的で政治家は紛争解決のために存在するのです。なのに、会談をしないという選択肢は基本的には好ましくない選択です。
日本は交渉下手過ぎるのです。例えば王毅外相と中国で会いたくなければ第三国で会談すればよいだけの話です。通常、悩ましい議案ある時は第三国を使うのが常とう手段です。その駆け引きはすべきでしょう。
では今日のテーマの五輪の外交的ボイコットを日本はすべきか、という点です。私個人の考えとしてはしなくてよいと思います。英米加豪とは一緒くたになれないのです。それに五輪で外交的ボイコットをしたら五輪後はどうするのか、ということを踏まえなくてはなりません。日中の外交を止めるのはテーゼではないのです。外交筋はあらゆるコミュニケーション手段を使い、日本のメッセージを伝え続けることが日本にとって必要なステップになります。室伏さんや山下さんを北京に送り込む、と早くアナウンスすべきだと思います。またオミクロンを理由に鎖国をしている日本において閣僚を派遣することはできない、としてしまえばよいと考えます。(おわり)
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(連載1)北京五輪外交ボイコットの考察
岡本 裕明 2021-12-10 17:34
(連載2)北京五輪外交ボイコットの考察
岡本 裕明 2021-12-11 15:49
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